21トリソミー
「……てことで、今日学校であった話と、友樹への文句は一通り話し終わったから、私はもうお暇しようかな」

 毒を吐き切ってスッとしたのか、奈子はスッキリした顔で、お皿に半分くらい残っていたチョコケーキの塊にフォークを突き刺し、一口で食べた。そんな食べ方をするから、

「ゲホッ。ゴホゴホゴホ」

 当然咽た。

「何やってんの」

 奈子の背中を摩りながら、冷めきってしまった紅茶を差し出すと、それを口に含んだ奈子が、

「冷めた紅茶をありがとう。咽た時にちょうどいいわ」

 と笑った。

「熱っつあつの紅茶、淹れ直そうか?」

 奈子の背中を摩っていた掌を拳に変えて、軽く叩くと、

「嫌味を返せるくらいだから平気? 友樹と一緒にいるのが辛いなら、ウチに泊めてあげようかとも思ってたんだけど」

 奈子が私の顔を覗き込んだ。
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