21トリソミー

　嬉しくて、嬉しくて。一刻も早く友樹に言いたくてＬＩＮＥをしようとする手を、必死に抑えた。顔を見て、直接伝えたかったから。

　ソワソワしながら夕食を作り、ワクワクしながら友樹の帰りを待ちわびる。

　いつも通りの時間に友樹は帰ってきた。だからと言って、松岡さんとの関係が断ち切れているのかどうかは分からない。だって、身体の関係がなかった彼らは、以前から夜に逢瀬をすることがなかったから。でも、そんなことはどうでもいい。なぜならば、私には友樹の赤ちゃんがいるから。

　玄関まで友樹を迎えに行くと、

「ただいま」

　今日も元気のない友樹が、疲れた顔をしながら靴を脱いだ。

　友樹はあれからいつも元気がない。笑顔も出さない。元気が出ないのは分かるが、『お前のせいだ』と伝えたいが為に、わざと私にそんなフリをしている節も感じなくはない。