21トリソミー
「……今日は夕食、いいや。お腹空いてない」

 友樹は鞄を置きに寝室へ行くと、着替えを持ってバスルームへと歩いて行った。

 1人目の妊娠が分かった時、二人で抱き合って大喜びしたのに。

 友樹の反応は予想出来ていた。だから、驚きはしない。でも、やっぱりショックだ。

 先回とのあまりの違いに、目から溢れ出る涙を、奥歯を食い縛りながら右手の甲で乱暴に拭き取る。

 洟を啜りあげながらダイニングへ行き、作った夕食を黙々と口へ運んだ。

 友樹が食べなくとも、私は食べる。

 心が荒びきっていて、味など全く分からない。それでも食べる。

 悲しかろうが、苦しかろうが、何を置いてもお腹の子どもに栄養を。
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