21トリソミー
「香澄はさ、子どもは何人欲しいと思ってる?」

「うーん。2人は欲しいかな」

「もし、お腹の赤ちゃんに障がいがあったとしても、下に子どもを作る?」

「だったら尚更作るよ。きょうだいを作ってあげた方が安心じゃん」

 私の返事に奈子が『はぁ』とため息を吐いたとき、店員さんが来て私たちが頼んだランチを運んできた。

「きょうだい児を作るんだ」

 奈子が眉間に皺を寄せながらポークステーキにナイフを入れた。

「きょうだい児?」

 聞いたことのない言葉に首を傾げる。

「周りに障がい者がいなかった人間って、知らなかったりするよね。【きょうだい児】。きょうだいに障がい者がいる子どものこと」

 眉間に皺を入れたまま、奈子が切り分けた豚肉を右頬に押し入れた。
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