21トリソミー
 義両親をリビングのソファに待たせ、キッチンへ行き紅茶を淹れる。といっても、ティーバッグだけど。私の生活は、ティーポットに茶葉を入れ、茶こしを使いながら淹れられるほど優雅ではない。

 一応、カップを湯通しして温めるという手間はしたからいいだろう。と、自分に言い訳をしながら、キッチンの棚を漁って茶菓子を探す。……ないよ。やっぱりない。冷蔵庫にかろうじてプリンが2つあるだけだよ……。あ、フルーツ缶もある‼ プリンにさくらんぼでも乗せて出すか? ……イヤ、小学生を招いているわけじゃないんだから。フルーツ缶に伸ばしかけた手を引っ込め、おとなしく紅茶だけを出すことにした。

「……どうぞ」

 義両親に紅茶を出すと、自分も腰を下ろした。

「ありがとう」

 お義父さんは紅茶に口をつけたが、

「友樹から聞いたわよ。赤ちゃんのこと」

 お義母さんは紅茶を手にとることもなく話し出した。
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