21トリソミー
「友樹から、香澄さんが実家に帰ったと聞いたから、香澄さんのご実家に電話を掛けて、そちらの両親の意見を伺ったの。香澄さんのご両親も反対してるらしいじゃない。周りも反対。友樹も反対している中で出産して、『あなたの子なんだから一緒に育てなさい』と、友樹を巻き込むのはあまりにも自分勝手だと思わない?」

「だからって、命を殺すなんて無責任だと私は思います」

 義母の言っていることは分かる。でも、承服は出来ない。

 義両親の目には、周りに何を言われても首を縦に振らない私はきっと【聞く耳を持たない嫁】として映っているだろう。

 義両親と私の間に、漂ったことのない空気が充満し始めた時、玄関のベルが鳴った。

「ちょっとすみません」

 ソファから腰を上げ、インターフォンの画面を見ると、友樹が立っていた。
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