21トリソミー
「香澄は赤ちゃんのダウン症が確定しても、産みたい?」

 友樹は私の疑問文には答えずに、同じ質問を私に返した。

「……分からない」

 私の答えは相変わらず出ない。

「俺は、諦めて欲しい」

 友樹の答えも変わらない。

 やっぱり結論に辿り着かない。何だか、着地点を見つけられない飛行機に乗っているような感じだ。このまま燃料が切れてしまったら、飛行機ならば墜落してしまう。このままこの話し合いに精も魂も尽き果てて、私たちの燃料が空っぽになったらどうなってしまうのだろう。

「……【分からない】は、テストだったら不正解よね。無回答と同じ」

 堂々巡りな私たちに、義母が割って入った。

「今、テストなんか受けてないじゃないですか‼」

 頭の中で飛行機の例え話を持ち出した私もたいがいだが、テストの例え話を口に出す義母は、行動に移している分面倒臭く感じ、思わず大きな声が出てしまった。
< 47 / 186 >

この作品をシェア

pagetop