【完結】私は全力であなたに夢中です!
「今日は、来ないのかな……」
お店が終わる三十分前になっても、冬馬さんは来る気配がない。
「美央、冬馬さん来ないね〜」
「す、鈴枝さん!」
い、いつのまに!
「冬馬さん、今日は来ないのかな?」
「どう、ですかね? たまにギリギリの時間に来ることもありますからね」
冬馬さんの顔が見れないと、なんとなく寂しいような……。
「冬馬さん、来てくれるといいね」
「は、はい」
「美央、またデート誘っちゃえば?」
「えっ!?」
す、鈴枝さん!何を言ってるの!?
「冬馬さんのこと好きなら、とことんアピールしなくちゃ!」
「って言われても……」
デートなんて、私には無理……! 食事に誘うのだって一苦労なのに!
「いらっしゃいませ〜」
そんな話をしていると、お店のドアが開く。
「と、冬馬さん!」
ウワサをすれば……本人登場!
「こんばんは、柿川さん」
「こ、こんばんは。……いらっしゃい、ませ」
冬馬さんが来ただけで、心臓がバクバクしている。緊張して、手に汗が出まくっている。
「注文、してもいいかな?」
「は、はい」
「じゃあ……シャケ弁と豚汁で」
「はい」
厨房に注文を取る。