【完結】私は全力であなたに夢中です!


 シャケ弁の袋を渡す時に妙に緊張してしまって、手が震える。
 しかも噛んでしまった……。

「ありがとう」

「こちらこそ! ま、また、お待ちしてます!」

 あの人、名前なんて言うんだろう……? あー、気になる……。
 もっと、あの人と話してみたいな……。

 なんて会うたびに思っているのだけど、なかなか話しかけられない。

「はい。また来ます」

 爽やかな笑顔を向けてくれる彼に、私はすでに虜になっている。

「ああ……かっこいいな」

「ん?何か言った?美央」

「え、い、いえ!」

 しまった。心の声が……。

「美央、もしかしてあの人のこと好きなの?」

「えっ!?」

 な、な、なんで!?

「やっぱり図星なんだ?」

「……ち、違います!」

 と慌てて否定するものの「ムキになる所がますます怪しい」と言われてしまう。

「……やっぱり、分かります?」

「分かるよそりゃあ!バレバレだよ〜」

 やっぱり、バレバレなのか……。あの人にもバレてるの……かな?

「分かるよ、あの人かっこいいもんね」

「はい。……なんていうか、あの人の前だと緊張しちゃって、噛んでしまいます」

「まあ、かっこいいからね」
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