【完結】私は全力であなたに夢中です!


 そうなんだよね……。

「あの人、彼女いるのかな……」

 ていうか、結婚してるのかな……? でも結婚指輪、してないしな……。

「あー……気になる」

「気になるなら、直接聞いてみれば?」

「いや、でも……!」

 そ、そんなこと聞けないよ……!!

「いっそのこと、告白しちゃえば?」

「こ、こ、告白……!?」

 そ、そんなこと出来ない!無理だよ!

「モタモタしてたら、誰かに取られちゃうかもよ?」

「……そ、それは」

 それはイヤだ……!

「時には、当たって砕けろよ?美央」

「当たって、砕けろ……」

 そっか……。時にはそういうのも、大切なのか。

「自分の気持ちはちゃんと言葉にしないと、分からないものよ」
 
「自分の、気持ち……」

 そんな言葉を言われた私は、あの人とちゃんと話してみたいなと思えた。
 


 それから数日後のこと。

「いらっしゃいませ〜」

 閉店間際になって、その人は現れた。

「……あ、こ、こんばんは」

 と声をかけると、その人は「閉店間際にすみません。 まだ、いけますか?」と声をかけてくれる。

「は、はい!大丈夫、ですよ」

 はああ……。やっぱり緊張する。
< 5 / 39 >

この作品をシェア

pagetop