【完結】私は全力であなたに夢中です!


「あ、ありがとう……ございます」

 そのチケットを受け取る時にちょっとだけ相手の手が触れてしまい、思わずドキッとした。

 その時、お弁当が出来たみたいで、調理場から「唐揚げ弁当上がりました!」と声が聞こえてきた。

「あ……お、お待たせしました!唐揚げ弁当、ご飯大盛りです!」

 唐揚げ弁当の入った袋を相手に渡すだけで、こんなにもドキドキするなんて……。

「ありがとうございます」

「あ、あの……!」

「はい?」

 しまった……! 意味もなく、呼び止めてしまった!
 ど、ど、どうしよう……!?

「あ、あの……」

 なにを言えばいいのだろうか!?

「どうかしましたか?」

「いえ、あの……」

 が、がんばれ私!

「あ、温かいうちに、召し上がってください!」 

 ち、ちがーう! 私が言いたいのはこんなことじゃないのに……!!

「はい。ありがとうございます」

「あ、ありがとうございました!」

 や、やってしまった……。思わず呼び止めてしまった。
 しかもドキマギしまって、変なことを言ってしまった。……私、臆病すぎない?

「美央!アンタ良かったじゃない!」

 そこへやってくる鈴枝(すずえ)さん。
< 7 / 39 >

この作品をシェア

pagetop