【短】入籍予定だった彼に直前に振られたけど、その直後に大物が釣れてしまった件について。
とある、休日の午後。
私、中川椛笑は婚約者である並木一澄と入籍届を出すために役場に向かっている。
「いずみくん、役場行ってすぐにレストランだからね」
「……あぁ、そうだな」
なぜか浮かない顔をする彼に疑問を持つ。いつもなら追及してしまうが今はしない。
というか、今日だけはしたくなかった。喧嘩になるのは嫌だし、めでたい日に言い合うのも……それに私自身、浮かれているから。
いずみくん運転の元、役場の駐車場に到着すると車を降りた。
「……届持ったし、身分証もあるし。大丈夫だよね、いずみくん」
「……え、なんだった?」
「だから、忘れ物ないよねって話だよ。いずみくん、体調悪いの?」
そう私が問うと、彼は首を横にブンブン振り「大丈夫だよ」と言った。何か無理してるんじゃないかって思って、今日はお昼やめた方がいいんじゃないかと思い始める。
けど、もう少しで苗字が変わるのかと思ったらなんだか緊張してきた。