恋の花と君が散るまで〜ポケットの中で今日も。〜

シオン

急に現れたその女の子を、僕は運命の人だと思った。
その女の子、香織ちゃんの話を聞いている限り、本当に人見知りなんだなと思った。だから自分には心を開いてくれていると思って優越感に浸っていた。
連絡先を交換しないかと聞いて、いいよと言われたとき逆に驚いた。今までの僕はことごとく失恋しまくりだった。世の中でいうと僕はいわゆる陽キャでも陰キャでもない微妙なポジションを保っている人種だった。バイト中はコンタクトだけど、学校ではメガネ男子な上にすべてが平凡な男なもんだから、特技も何もなかった。恋に至っては学校で1番モテてる女子にただこがれてるだけのモブA、いや、モブLくらいかもしれない。
当たり前だけど、告白もしたことはなかった。
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