フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました


「それは、昼間忙しく働いている女性じゃないの。君とは違うから」

 肩をすくめて洗面所へ向かう彼を、わたしはあっけに取られて見つめるしか出来なかった。

 せっかく始めたパートを、体裁悪いからやめてほしいって言ったの、そっちじゃない!

 そう叫んでしまいたいのをぐっと我慢して洗濯物を取り入れることに気持ちを集中したのだ。口論になって、家の中の雰囲気が重たくなるのが嫌だった。彼はさばさばしたところもある人なので、少し経ったらまた普通に話しはじめるに違いない。だから、いまはちょっとだけこのモヤモヤをがまんしよう。

 そんなふうにやり過ごしてきてしまったからなのかな。

 今では何かにつけて、自分が大した人間じゃないことを思い知らされている気がする。

「昔は、あんなふうじゃなかったんだけどな」

 前はもっと、お互い笑いながら話していたと思う。何が裕一を変えてしまったのか、わからないまま三、四年経つ。寝室はもう、とっくに別々だ。
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