フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました
次の朝、いつものように携帯の目覚ましが6時に鳴った。控えめな音にいつもは夢うつつで起き上がるのだけど、今朝は一音鳴っただけで携帯を掴み音を消した。
ザラザラした目を擦って起き上がる。

(ぜんぜん、眠れなかった)

裕一はまだ起きていない。彼はきっかり6時半に部屋から出てくる。それまでに、ご飯、お味噌汁、目玉焼きか卵焼き、漬物、サラダを準備する。一つでも欠けるとすぐ不機嫌になるから、切らしている時はコンビニまで走っていく。
切らしてしまう自分が悪いのだから、これは仕方ないことなのだけど。
わたしはもともと、なければないでどうにでもなると思ってしまう性質なのだ。よく言えば楽天家だけれど、人によってはとても苛々するのだろう。

だから結婚してから初めて彼が、サラダがないと言った時の不機嫌さに驚き慌てて、「す、すぐ買ってくるよ」
とコンビニに走ってしまった。
あのとき、「なくてもいいじゃん。一緒に食べよ」って言えたらどうなってただろう。
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