フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました
言えなかったわたしは、それから十年以上、すこしピリピリした朝を迎えている。
すべて準備し終わって、テーブルにほかほかの朝食が並ぶ。6時半、裕一が出てきた。わたしはいつもより大きく「おはよ」と声をかけた。
彼は訝しげにこちらを見て、ふん、と言ったような顔で頷くと黙って食卓につく。
わたしは、そんな彼の様子を見てひとつ、心を決めた。
(やっぱりちゃんと次のパート探そう。正社員じゃなくても、なんでもいい。ネットのハンドメイドショップだけじゃなくて、外に出よう)
昨日のことは、もう話すタイミングを失ってしまったし、話しても良い反応なんて期待できない。自分のお金で妻が遊んでいると愚痴る感覚のひとに、楽しかったなんて言えるわけがなかった。