フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました
リビングのテーブルに朝日が差し込む。夫は丁寧に箸を使い黙々と食事をとっていた。
わたしはキッチンで洗い物をはじめる。穏やかな朝の食事風景。
「今日は、帰っても夕食なにもない、なんてことはないよね? さすがに」
食事を終えると、ネクタイを締めながら彼は咎めるような口振りで尋ねてきた。また、昨日の電話での会話が頭に浮かんでとっさに「ごめん」と出そうになるのをどうにか踏ん張って、ゆっくり頷く。
「うん。今日は予定ないから」
そういえば、あの電話。誰と話していたのだろう。
ふと、そんな疑問が頭に浮かんだけれど、なぜか尋ねることはできなかった。
穏やかな朝なのは、外側だけだ。互いに伝えたいことが違いすぎて、相手が地平線の向こうにいるように遠い。歩み寄る努力をしなければと言うけれど、わたしにはあまり自信がなかった。