フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました


熱いシャワーを浴びながら、涙と嗚咽を流していく。
無力な自分が悔しくて仕方なかった。
彼への腹立たしさよりも、言われて反論できない自分が悔しい。

結婚したての頃は、互いに気遣い、大事に思っていたはずだったのに。合コンという、お見合いもどきの席で何か勘違いしたまま、わたしたちは結婚したのだろうか。
あったはずの愛情はどこへいったのだろう。

濡れた髪にタオルを乱暴に巻きつけ、ベッドに潜り込む。髪が傷むとか、風邪ひくとか、どうでもいい。
早く明日になれ。そんな気持ちで目をぎゅっと閉じた。

そうして二、三時間過ぎたのだろうか。いつのまにか寝てしまっていたらしい。わたしはふと、人の気配に瞼を開けた。ドアが細く開き、光が徐々に真っ暗な部屋を照らす。
「莉子?」
裕一の声だ。躊躇いがちな、探るような声音で名前を呼ばれて、わたしは思わず布団にさらに深く潜り込んだ。
「……起きてるんだろ」
彼はドアを開けて部屋へと入ってくる。すこし呂律の回らない話し方をみると、あれから相当呑んだのだろう。

ぎしりとベッドの隅が沈み込む。彼が膝をマットに乗せ、わたしのそばへ近づいた。
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