フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました

彼もわたしも淡白だったこともあり、結局妊娠しないままここまで来てしまった。夫があまり、子供が好きではなさそうだというのは結婚してからわかったのだけれど。

テーブルの向こうで店長さんは一瞬大きく目を見開いたが何も言わず、

「わかりました。それでは、ある程度勤務時間に幅を持たせても大丈夫そうですかね?」

と続ける。
「ええ、でも、あの、朝は早くても大丈夫ですが、午後はなるべく四時ごろまででお願いしたいのですが」
おそるおそるそう告げると、店長さんは頷いた。
「わかりました。他にご希望は?」

その後、職歴などをきかれ、あっという間面接は終わりになった。緊張してこわばった肩がふっと緩む。

「それでは、結果は数日以内にご連絡いたします」
「は、はい! よろしくお願いします」
 深く頭を下げる。終始事務的だった店長さんだが、ここで初めて表情を和らげた。
「決まったらすぐにお仕事に入って頂くことになりますが、大丈夫そうですか?」
「え? っと……。はい、それはもちろん」
「いやぁ、多分蔭山さん採用だと思うので、そんなに心配しなくても大丈夫だと思いますよ」
(緊張でガチガチになっていたの、伝わっちゃってたのかも。恥ずかしい)
わたしは耳に髪をかけながら、瞬きを繰り返した。
「あ、ありがとうございます」
「ま、この後オーナーとも話してからなんですけどね」

オーナー。ということは上月くんだ。

(やっぱり、伝わっちゃうのか……。履歴書の写真でバレちゃうだろうけど、なんだか照れ臭すぎる……っ。それにもし不採用だったら、すっごく気まずいな)
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