フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました

驚いた声を上げる上月くん。無理もない。わたしは消え入りそうな声で返事をして、頭を下げた。

「お、お疲れ様です……。上月、さ、ん……」
「ち、ちょっと…、なに、やってんすか? 面接って、え? ウチに?」

上月くんは形のいい眉を大きくあげて、口をぱくぱくさせている。わたしを指差して、おいおいマジかよ、といって頭の後ろに手をやっている。やんちゃだった頃の名残が仕草の端々に現れていた。

「オーナー? え? あれ? ……え?」

店長は訳がわからないと言った様子で私たち二人を交互に見つめる。ようやく理解したのか、「オーナーとお知り合いだったんですか」とわたしを見た。

「はい……。あの、申し訳ありません。知り合いといっても、先日久しぶりにお会いしただけで、その」
「僕の高校の先輩なんだよ、この(ひと)
「ええええ! 先輩? オーナーの?」

店長の黒田さんは狼狽えながら履歴書を何度も見返しているし、わたしは黙っててすみませんと謝るしで、その場はいっとき混乱してしまった。
やがて、上月くんはやれやれといった表情になる。
「先輩、水くさいよ。そう思わないか、黒田くん」
「ええ、まあ」
店長さんは曖昧に頷く。
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