フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました


「ご、ごめん。……勝手に」
「違うって。そうじゃなくて……。すみません、僕、驚いて」
彼は頭を軽く振った。
「気に入らないとか、そんなんじゃないんです。ただあのとき、なにも言ってくれなかったから」
 再開した日に、先輩の話を聞かせて、と言われたときのことだろう。わたしは今度は素直に打ち明けた。
「あの……前働いてたお店が閉店しちゃって、それで、しばらく休んでたの。でもやっぱり、仕事、したいなって思って……」

ただ、夫にいろいろと言われたことまではどうしても言えなかった。まるでわたしが、ダメ人間だと告白しているみたいだから。


「先に、ひと声かけるほうがよかったね。急に、ほんと、ごめん」
「ほんと、びっくりした。だって絶対……」

彼は言葉を区切って、少し考えてから、ふっと微笑んだ。
「でも、先輩らしいですね。なんか」
「ど、どこが……」
「なんか、いろいろ気を遣って、結局空回りしてるとこ」
「な……!」
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