旅先恋愛～一夜の秘め事～
『こういうのは押しつけたり、無理強いするものじゃないわ。自分を責めてもしんどいだけだし、相手の重荷になるの。すぐに反省して実行できるのが自分の美点だと思えばいいじゃない』


「そうね、いつもごめんね。もう少しポジティブに考えるようにして、とりあえず今からお弁当を作るわ」


『その調子よ。でも体に無理をしちゃダメよ。念のため秘書室長に差し入れしていいか確認しておきなさいよ。すでに食事の準備をしていたらお互いに困るでしょ』


最後までしっかり助言してくれたハトコに礼を告げ、通話を終える。

彼に気持ちを伝えて逃げずに向き合うという覚悟が麗のおかげで決まり、久しぶりに心が軽かった。


「よし、お弁当を作ろう！」


ひとりで決意表明し、ハトコに言われたとおり秘書室長に連絡した。

差し入れの件を尋ねると、快く承諾された。


『業務のため表には出されませんが、突然の会議に不機嫌になられているので助かります』


と、逆に感謝された。

どうやら暁さんは早く帰宅したいがため、朝から精力的に仕事をこなしていたそうだ。

差し入れの件を暁さんにまだ話していないと伝えると、なぜか楽しそうに返答された。


『どうせなら直前まで黙って、驚いていただきましょう』
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