旅先恋愛~一夜の秘め事~
11.独占欲~唯一のお姫様~ side 暁
「副社長、区役所に行ってきますね」
時計を見ながら秘書が早口で告げる。
今日は延長窓口の日なので住民票の写しを取得したいと、以前から言われていた。
先日入籍を済ませたばかりの彼女は今、少しずつ様々な手続きを進めているらしい。
「わかった、今日はそのまま直帰で構わないぞ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
嬉しそうに頬を緩める姿は、先ほどまで俺に厳しい表情で苦言を呈していた人物とは思えない。
秘書が退出し、十分くらい経った後、ノックの音がして葎が入ってきた。
「お疲れ様です、副社長」
「お疲れ様、どうした? 決裁書類はさっき渡したよな?」
今日は急な会議が夕方に行われたため、決裁書類を確認するのが遅くなっていた。
必要な業務なので仕方ないが、早めに帰宅して唯花と食事をしたかった。
最近の唯花はふとした折に悲しそうな、つらそうな表情を見せる。
妊娠期は体の変化はもちろん、出産への不安もあるだろうから気持ちが不安定になりやすいと出産・育児についての本に記載されていた。
だが、ほかにも原因がある気がしてならない。
時計を見ながら秘書が早口で告げる。
今日は延長窓口の日なので住民票の写しを取得したいと、以前から言われていた。
先日入籍を済ませたばかりの彼女は今、少しずつ様々な手続きを進めているらしい。
「わかった、今日はそのまま直帰で構わないぞ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
嬉しそうに頬を緩める姿は、先ほどまで俺に厳しい表情で苦言を呈していた人物とは思えない。
秘書が退出し、十分くらい経った後、ノックの音がして葎が入ってきた。
「お疲れ様です、副社長」
「お疲れ様、どうした? 決裁書類はさっき渡したよな?」
今日は急な会議が夕方に行われたため、決裁書類を確認するのが遅くなっていた。
必要な業務なので仕方ないが、早めに帰宅して唯花と食事をしたかった。
最近の唯花はふとした折に悲しそうな、つらそうな表情を見せる。
妊娠期は体の変化はもちろん、出産への不安もあるだろうから気持ちが不安定になりやすいと出産・育児についての本に記載されていた。
だが、ほかにも原因がある気がしてならない。