旅先恋愛~一夜の秘め事~
出産後はさらに甘く過保護になった。

しかも対象が私と娘に増えた。

暁さんは産後の私の体を気遣い、以前に増して仕事を早めに切り上げるようになった。

娘の夜泣きや夜中の授乳にも当然のように付き合ってくれた。


『自分の娘の面倒を見るのは当たり前だ。そもそも俺は日中唯花に任せっぱなしだから』


早朝から仕事があるので先に休んで、と私が口にするたび彼はそう言った。

自身が休日の日には気分転換にひとりで少しでも外出しておいで、とよく言ってくれた。

彼の細やかな気遣いと麗や両家の両親の温かなサポートのおかげで、私は慣れない初めての育児を、悩みすぎずに今日までやってこれた。

思いやり深い夫は華と同様、惜しみない愛を私へ毎日注いでくれる。

私の派遣期間はつい先日堤さんが妊娠したことにより、延長になった。

私たちの結婚については彼のたっての願いで、育児休暇中に公表することになった。

本社内はもちろん、元々の私の所属先である営業課だけではなく他部署も騒然としたそうだ。

暁さん曰く、私が職場復帰した際に誰かに言い寄られるのを防ぎたいらしい。

そんな心配は不要だと笑ったら拗ねてしまったのは、記憶に新しい。
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