旅先恋愛~一夜の秘め事~
「へえ……ハトコね」
そう言って、彼はなにかを納得したように腕組みをする。
じっと再び綺麗な目で凝視され居心地の悪さに目を背けると、彼が口を開いた。
「俺は暁だ。自己紹介も済んだし、レストランへ行こう。手を出して」
暁さんの言葉に首を傾げると、彼はサッと私の左手を自身の右手で包み込んだ。
「あのっ……なぜ」
「目を離した隙に迷われたら困るからな」
当然のように言われて頬がカッと熱をもつ。
骨ばった指から伝わる高い体温が心地よく、なぜか安心する自分に驚く。
「行こう」
至近距離から覗き込むように声を掛けられ、うなずくしかできない。
ただ案内してもらうだけよ、と自分に言い聞かせて足を動かした。
「どうぞ、こちらの席に」
満面の笑みのウエイターに案内されたのは個室だった。
しかもなぜか暁さんと同席だ。
朝食のビュッフェレストランで個室に案内されたのは初めての経験だ。
ウエイターが席から離れたのを確認後、恐る恐る口を開く。
「どうして個室で、しかも同席なんでしょうか……?」
「誰かと朝食の約束があるのか?」
「いえ、ありませんけど」
「だったら問題ないだろう?」
至極当たり前といった態度に混乱する。
昨日偶然会ったばかり、しかもお互いについてなにも知らないのに、なんで朝食をともにしようとするのか。
そう言って、彼はなにかを納得したように腕組みをする。
じっと再び綺麗な目で凝視され居心地の悪さに目を背けると、彼が口を開いた。
「俺は暁だ。自己紹介も済んだし、レストランへ行こう。手を出して」
暁さんの言葉に首を傾げると、彼はサッと私の左手を自身の右手で包み込んだ。
「あのっ……なぜ」
「目を離した隙に迷われたら困るからな」
当然のように言われて頬がカッと熱をもつ。
骨ばった指から伝わる高い体温が心地よく、なぜか安心する自分に驚く。
「行こう」
至近距離から覗き込むように声を掛けられ、うなずくしかできない。
ただ案内してもらうだけよ、と自分に言い聞かせて足を動かした。
「どうぞ、こちらの席に」
満面の笑みのウエイターに案内されたのは個室だった。
しかもなぜか暁さんと同席だ。
朝食のビュッフェレストランで個室に案内されたのは初めての経験だ。
ウエイターが席から離れたのを確認後、恐る恐る口を開く。
「どうして個室で、しかも同席なんでしょうか……?」
「誰かと朝食の約束があるのか?」
「いえ、ありませんけど」
「だったら問題ないだろう?」
至極当たり前といった態度に混乱する。
昨日偶然会ったばかり、しかもお互いについてなにも知らないのに、なんで朝食をともにしようとするのか。