旅先恋愛~一夜の秘め事~
「……怖いか?」


「いいえ」


真上に覆いかぶさる彼を真っ直ぐに見据えて答えると、彼はふわりと相好を崩す。


「可愛いな……本気で抱き潰したくなる」


物騒な台詞に目を見開く私の服を、長い指が脱がせていく。

少しずつ露わになる胸元に、大きな手がゆっくりと触れる。


「真っ白で綺麗だな」


ひとり言のようにつぶやいた彼が、胸元にキスを落とす。

柔らかく甘い刺激に腰が揺れる。

バサリとスーツの上着を脱ぎすて、首元のネクタイをもどかし気に緩める姿に視線を奪われる。

露わになる喉元から目を離せない。

綺麗な筋肉のついた体はほどよく引き締まっている。


「俺に見せて」


私の視線に気づいた彼が、私の上下の下着を奪い去っていく。

さっきまでの寒さが嘘のように体中が熱い。

鎖骨を甘噛みされ、下着で隠れるギリギリのラインに彼が唇で所有印を刻む。

脇腹をたどる骨ばった指が、快感に震える私の腰をつかむ。


「……細いな。壊してしまいそうで心配になる」


新たに赤い花を咲かせながら囁かれる声に、恥ずかしさがこみ上げる。

私の感じる場所を知っているかのように胸に触れられ、視界がどんどん滲んでいく。


「ふっ……あ……」


意味のなさない声ばかりが口から洩れるのを抑えられない。


「可愛いな、唯花。もっと俺を感じて」
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