旅先恋愛~一夜の秘め事~
5.庇護欲~迷子のお姫様~ side 暁
腕の中で気を失ったように眠る華奢な体をそっと引き寄せる。

激しい情事の後を知らしめるような熱い体と、所かしこに咲いた赤い花に思わず苦笑する。

こういった行為にあまり慣れていないのか、彼女は体をさらしたり声を漏らすのを終始恥ずかしがっていた。

すぐに赤く染まる頬や耳、うなじは彼女の反応が演技ではないと証明しており、心が煽られた。

可愛らしい反応に溺れ、何度も唯花を求めてしまった。


もう俺は彼女を手離せない。


「……無理をさせた、な」


そっと頬に触れると、唇が少し開く。

些細な仕草ひとつに視線を奪われ、心が揺れる。

腕の中でずっと抱きしめていたい衝動にかられ、普段とは違う自分の感情の変化に自嘲する。


やっと見つけた、たったひとりの女性。

きちんと会話をし、過ごした時間はあまりに短い。

一瞬で心の奥に入り込んだ彼女の存在を、胸にこみ上げる感情を、今はまだうまく説明できない。

俺自身が戸惑っているのだから、きっと唯花もこの展開を理解しがたいだろう。

体を先に繋げてしまった性急さは認めるが、これからゆっくりとふたりの心の距離を近づけていければいい。


「う……ん」


小さく吐息を漏らす彼女の髪にキスを落とす。

体は心地よい倦怠感に包まれているのに、胸の奥が熱くて眠気がやってこない。
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