旅先恋愛~一夜の秘め事~
改めて私は暁さんについてなにも知らないと思い知る。
告白はおろか、本社に異動してきてから私的な会話は電話を含め、ほとんどしていない。
皮肉にも彼の多忙さが少なからずわかる立場になり、恋人でもないのに連絡をとるのは気が引けてしまう。
秘書課に戻ると、堤さんは離席していた。
「お疲れ様です……綿貫さん、大丈夫ですか? 顔色がとても悪いですよ」
外出先から帰ってきたばかりの秘書室長に入り口近くで声をかけられた。
「加住室長、お疲れ様です。ご心配ありがとうございます。大丈夫です」
「慣れない仕事で疲れが出たのかもしれません。今日はもういいので帰ってください」
「でも……」
「万が一倒れたりしたら大変です。副社長と堤には伝えておきますから」
ひとりで帰れますか、とあれこれ気遣われて申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
自分が思う以上に給湯室の会話がショックだったのかもしれない。
とはいえ、新しい業務に就いたばかりなのに早退なんて情けない。
けれど、最近体にあまり力が入らないし、目眩も頻繫に起こっている。
季節が変わり、花粉が多く飛ぶこの時期はよく体が重くなり、頭痛に悩まされる。
この時期によく出る症状のため、あまり気に留めずにいたが異動の緊張もあったのかもしれない。
告白はおろか、本社に異動してきてから私的な会話は電話を含め、ほとんどしていない。
皮肉にも彼の多忙さが少なからずわかる立場になり、恋人でもないのに連絡をとるのは気が引けてしまう。
秘書課に戻ると、堤さんは離席していた。
「お疲れ様です……綿貫さん、大丈夫ですか? 顔色がとても悪いですよ」
外出先から帰ってきたばかりの秘書室長に入り口近くで声をかけられた。
「加住室長、お疲れ様です。ご心配ありがとうございます。大丈夫です」
「慣れない仕事で疲れが出たのかもしれません。今日はもういいので帰ってください」
「でも……」
「万が一倒れたりしたら大変です。副社長と堤には伝えておきますから」
ひとりで帰れますか、とあれこれ気遣われて申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
自分が思う以上に給湯室の会話がショックだったのかもしれない。
とはいえ、新しい業務に就いたばかりなのに早退なんて情けない。
けれど、最近体にあまり力が入らないし、目眩も頻繫に起こっている。
季節が変わり、花粉が多く飛ぶこの時期はよく体が重くなり、頭痛に悩まされる。
この時期によく出る症状のため、あまり気に留めずにいたが異動の緊張もあったのかもしれない。