旅先恋愛~一夜の秘め事~
「……なんで泣いた?」
彼の長い人差し指が、まだ重たい瞼を優しい仕草で撫でた。
温かな指の感触に胸が震えて、気持ちが溢れそうになる。
昨日あれだけ泣いたのに、再びこみ上げた涙を彼が親指で拭う。
「あなたのそばに、いられないから」
「どうして?」
黙り込む私に根気強く尋ねる。
「……答えないなら答えるまで離さないし、逃がさない」
物騒な台詞を口にして、彼は空いているほうの手で髪をかき上げる。
少しイラだったような態度に息が詰まりそうになる。
「俺はお前を手離す気はない……とりあえず、帰るぞ」
「か、帰るって、私は」
目の前が自宅なのに、と口を開いた途端、嚙みつくような口づけをされた。
呼吸さえも奪うような激しいキスに目の前が真っ白になる。
何度も唇を貪られ、体の力がどんどん抜けていく。
彼は私を支えながらキスを続ける。
唇が離れた瞬間、はあ、と荒い息を吐いた私の唇を親指で軽く拭う。
ふらつく私の腰を片手で抱え、落ちているバッグをもう片方の手で軽く屈んで拾い上げた。
飛び散っている中身に視線を向けた彼が驚いたような声を上げる。
「……産婦人科?」
彼の長い人差し指が、まだ重たい瞼を優しい仕草で撫でた。
温かな指の感触に胸が震えて、気持ちが溢れそうになる。
昨日あれだけ泣いたのに、再びこみ上げた涙を彼が親指で拭う。
「あなたのそばに、いられないから」
「どうして?」
黙り込む私に根気強く尋ねる。
「……答えないなら答えるまで離さないし、逃がさない」
物騒な台詞を口にして、彼は空いているほうの手で髪をかき上げる。
少しイラだったような態度に息が詰まりそうになる。
「俺はお前を手離す気はない……とりあえず、帰るぞ」
「か、帰るって、私は」
目の前が自宅なのに、と口を開いた途端、嚙みつくような口づけをされた。
呼吸さえも奪うような激しいキスに目の前が真っ白になる。
何度も唇を貪られ、体の力がどんどん抜けていく。
彼は私を支えながらキスを続ける。
唇が離れた瞬間、はあ、と荒い息を吐いた私の唇を親指で軽く拭う。
ふらつく私の腰を片手で抱え、落ちているバッグをもう片方の手で軽く屈んで拾い上げた。
飛び散っている中身に視線を向けた彼が驚いたような声を上げる。
「……産婦人科?」