冷酷王の元へ妹の代わりにやってきたけど、「一思いに殺してください」と告げたら幸せになった
「そんなこと、私に言われても」
オルテンスは自分を大切にする人たちのことを不思議そうに思いながらも、向けられる好意に少しむずむずした気持ちになっている。
ミオラは「可愛いです!」とひたすらオルテンスに告げてくる。そうやってずっと可愛い可愛いと言われることが落ち着かなくて、オルテンスは一人になりたくなる。オルテンスのことを一人させないようにしようとしているので、一人になることはない。
ミオラがオルテンスを可愛い可愛い言っているのを見て、他の侍女や執事たちも真似をしていたりする。それはオルテンスがあまりにも自分のことを大切にしていないから、大切だと言うことを分からせようというプロジェクトが立ち上がっているらしい。もちろん、オルテンスは知らない。
ちなみにこのプロジェクトを手動しているのは、ミオラである。
「オルテンス様、可愛いです」
「……」
「困った顔も可愛いです」
可愛い可愛いと言われると、本当に誰かに大切にされているような、誰かの宝物になってしまったような……そんな風に勘違いしてしまいそうになる。オルテンスは誰からも大切にされてこなかった。不要なものだと言われ続けていた。
だから、自分のことを大切にしている人などいないはずだと思っている。
だから幾ら言われてもやっぱり自分を大切にする人などいないと、そう思っているのだ。
オルテンスはこの国でのんびりと過ごす日々は、やっぱり夢みたいだとそう感じていた。
「オルテンス様、本日は魔法使いの方がやってきてくださいますからね」
「魔法使いの方?」
「はい。オルテンス様を縛っているものをどうにかするために来てくださるのです」
「私なんかのために……そんなのいらない。そういうのあっても問題ないし……」
「オルテンス様、私たちが嫌なんです。私たちのためだと思って、ちゃんと見てもらいましょうね?」
「……うん」
「オルテンス様が自分で死を選ぶことがないように縛られているのはききましたが、他にも縛りはあったりしますか?」
「分かんない」
オルテンスは自分が何を魔力で縛られているのかも理解していない様子である。そのことにミオラはまたサーフェーズ王国に対しての怒りを感じていた。
ミオラは恐ろしい顔をオルテンスには隠しながら、内心はサーフェーズ王国をどうしてやろうかなどと物騒なことも考えていた。
「……オルテンス様、ちゃんとオルテンス様にどんな魔力の縛りがされているかちゃんと知りましょうね。それでちゃんと解いてもらいましょう」
「ミオラが喜ぶなら、解いてもらう」
「ええ。そうしましょうね」
「本当に、ミオラ、嬉しそう」
「嬉しいですから。オルテンス様はその状態が当たり前だったかもしれないですけど、普通はそういう縛りをかけられないで皆生きていますからね。でも前に行ったように、解いても自死だけは選ばないでくださいね」
オルテンスはミオラの言葉を聞きながら、頷く。
ミオラはオルテンスのそんな様子に、うずうずした様子で手を伸ばしかけ、問いかける。
「オルテンス様、頭を撫でてもいいですか?」
「頭を撫でる? どうして?」
「撫でたいからです。オルテンス様は凄く可愛いので、可愛いものは撫でたくなるのです」
「ミオラが撫でたいなら……うん、どうぞ」
オルテンスは頭を撫でられたこともないので、何だか不思議な気持ちになりながらも頭を差し出す。頭を差し出されて、ミオラは嬉しそうに笑いながらその頭に手を伸ばした。そしてわしゃわしゃと撫でる。
「オルテンス様は可愛いですね、本当に」
そしてミオラはそう言うのであった。
――そしてそれから少しして、魔法使いがやってくる。
その魔法使いは、不機嫌そうな顔をした男性だった。不機嫌な顔をした金色の髪の男性は、オルテンスの状況を確認する。
「あぁ? なんだこれは。何でこんなもの仕掛けられてんだ」
「……そんなこと、私に言われても」
オルテンスは言われた言葉にそう答えた。
ミオラは「可愛いです!」とひたすらオルテンスに告げてくる。そうやってずっと可愛い可愛いと言われることが落ち着かなくて、オルテンスは一人になりたくなる。オルテンスのことを一人させないようにしようとしているので、一人になることはない。
ミオラがオルテンスを可愛い可愛い言っているのを見て、他の侍女や執事たちも真似をしていたりする。それはオルテンスがあまりにも自分のことを大切にしていないから、大切だと言うことを分からせようというプロジェクトが立ち上がっているらしい。もちろん、オルテンスは知らない。
ちなみにこのプロジェクトを手動しているのは、ミオラである。
「オルテンス様、可愛いです」
「……」
「困った顔も可愛いです」
可愛い可愛いと言われると、本当に誰かに大切にされているような、誰かの宝物になってしまったような……そんな風に勘違いしてしまいそうになる。オルテンスは誰からも大切にされてこなかった。不要なものだと言われ続けていた。
だから、自分のことを大切にしている人などいないはずだと思っている。
だから幾ら言われてもやっぱり自分を大切にする人などいないと、そう思っているのだ。
オルテンスはこの国でのんびりと過ごす日々は、やっぱり夢みたいだとそう感じていた。
「オルテンス様、本日は魔法使いの方がやってきてくださいますからね」
「魔法使いの方?」
「はい。オルテンス様を縛っているものをどうにかするために来てくださるのです」
「私なんかのために……そんなのいらない。そういうのあっても問題ないし……」
「オルテンス様、私たちが嫌なんです。私たちのためだと思って、ちゃんと見てもらいましょうね?」
「……うん」
「オルテンス様が自分で死を選ぶことがないように縛られているのはききましたが、他にも縛りはあったりしますか?」
「分かんない」
オルテンスは自分が何を魔力で縛られているのかも理解していない様子である。そのことにミオラはまたサーフェーズ王国に対しての怒りを感じていた。
ミオラは恐ろしい顔をオルテンスには隠しながら、内心はサーフェーズ王国をどうしてやろうかなどと物騒なことも考えていた。
「……オルテンス様、ちゃんとオルテンス様にどんな魔力の縛りがされているかちゃんと知りましょうね。それでちゃんと解いてもらいましょう」
「ミオラが喜ぶなら、解いてもらう」
「ええ。そうしましょうね」
「本当に、ミオラ、嬉しそう」
「嬉しいですから。オルテンス様はその状態が当たり前だったかもしれないですけど、普通はそういう縛りをかけられないで皆生きていますからね。でも前に行ったように、解いても自死だけは選ばないでくださいね」
オルテンスはミオラの言葉を聞きながら、頷く。
ミオラはオルテンスのそんな様子に、うずうずした様子で手を伸ばしかけ、問いかける。
「オルテンス様、頭を撫でてもいいですか?」
「頭を撫でる? どうして?」
「撫でたいからです。オルテンス様は凄く可愛いので、可愛いものは撫でたくなるのです」
「ミオラが撫でたいなら……うん、どうぞ」
オルテンスは頭を撫でられたこともないので、何だか不思議な気持ちになりながらも頭を差し出す。頭を差し出されて、ミオラは嬉しそうに笑いながらその頭に手を伸ばした。そしてわしゃわしゃと撫でる。
「オルテンス様は可愛いですね、本当に」
そしてミオラはそう言うのであった。
――そしてそれから少しして、魔法使いがやってくる。
その魔法使いは、不機嫌そうな顔をした男性だった。不機嫌な顔をした金色の髪の男性は、オルテンスの状況を確認する。
「あぁ? なんだこれは。何でこんなもの仕掛けられてんだ」
「……そんなこと、私に言われても」
オルテンスは言われた言葉にそう答えた。