冷酷王の元へ妹の代わりにやってきたけど、「一思いに殺してください」と告げたら幸せになった
「美味しいものが食べれて、嬉しいから」
「……こんな素敵な部屋に居ていいのかなぁ」
オルテンスは、ぼーっとした様子でベッドに座っている。
あの後……、オルテンスが一思いに殺してほしいと言った後、オルテンスは殺されなかった。何とも言えない表情をしていたデュドナは「殺しはしない」と口にした。そしてオルテンスは王城の一室へと案内された。
オルテンスにとって、そこはとても素敵な部屋である。
自国では、姫としての扱いもされずに、狭くぼろい部屋で暮らしていた。使用人もおらず、離れで暮らす――そんな日陰の暮らしをしていたオルテンスにとっては素敵な部屋である。
ちなみにぼーっとしているオルテンスには当然のごとく監視がつけられているが、ただの少女である彼女は当然気づいていない。
どうして自分は生きているんだろうとばかりに、ぼーっとしているオルテンス。
どこからどうみても人畜無害な様子である。
こっそり魔法を使ってオルテンスを監視している影は、「この子、監視する意味ある?」と思っていた。
しまいにはぐーっとお腹がなる。
「お腹すいたなぁ……。でもご飯ほしいなんて言えないものね。我慢我慢」
空腹を我慢することは、オルテンスにいつものことである。なので、当然のごとくお腹がすいたけれど我慢することにした。
実はオルテンス、移動中にあまりご飯をもらっていなかった。サーフェーズ王国からついてきた最低限のものたちは、オルテンスの事を軽んじていた。ちなみに彼らはメスタトワ王国にオルテンスを送り届けるとすぐに帰っていった。
空腹を感じているが、だからといってそれを望むのも……とベッドに座ったまま我慢するオルテンス。
監視していた影は、「変わったお姫様。お腹すいていて、悲しそうな顔してる! ご飯あげた方がいい」とご飯をあげたくなっていた。そういうわけで、すぐに知らせを出す。他の影が「何かあったか?」とやってくると、「お姫様にご飯を食べさせたいです」といってぽかんとされていた。
二人の影はお腹が鳴りながらも、ぼーっとしながら独り言を言っているオルテンスを見て、「ご飯をあげなきゃ」という思いで共通したらしく、デュドナたちにすぐに報告する。
ほぼ一人で過ごしていたオルテンスは、結構独り言が多かった。
デュドナはもしかしたらオルテンスが何か企んでああいう態度をしたのではないか、演技をしているのではないか……と思っていたようだが、影からの報告を聞いてとりあえずご飯をオルテンスに食べさせることにした。
侍女がオルテンスの部屋を訪れれば、「殺してくれるんですか?」と問いかけられ、侍女は困った顔をした。
ご飯を食べてもらいますと言えば、毒殺かな? などと思っているオルテンス。
自分のことを何の価値もないと思っているオルテンスは、この国で殺されると思っているようだ。先ほど殺しはしないとデュドナに言われていたが、その気が変わったのだろうと思っているようだ。
案内された席に、デュドナも居てオルテンスは驚いている様子だ。
最期の晩餐が、大国の王と一緒な感じかなと思っているようだ。デュドナは、その美しい金色の瞳でオルテンスをじっと見ている。
座るように言われて、オルテンスは腰かける。
食事のマナーもそんなにオルテンスは出来ていない。最低限のことしか出来ないので、ハラハラしながらも食事をとっていいと言われたため、オルテンスは目の前の食べ物に手を付ける。
食べやすくて、美味しいものばかりだ。そしてオルテンスはこういったちゃんとした食事をあまり知らない。美味しくて嬉しそうにバクバク食べている。
「……美味しそうに食べるな」
「美味しいものが食べれて、嬉しいから」
そう口にしながらバクバク食べる。それもこれが最期の晩餐だと思っていて、このまま殺されるのならば美味しい料理を最後に楽しもうと思っているのかもしれない。
オルテンスは嬉しくて仕方がないとでもいうように、満面の笑みを溢している。
まるで子供のように無邪気な笑みを浮かべているのを見ると、全く持って何かを企んでいるようには見えない。
「美味しいか?」
「はい! とっても美味しいです。こんなにおいしいもの、はじめて食べました。これ、最期の晩餐ですか?」
「……何でそうなる?」
「だって、私を陛下たちが生かしておく意味もないですよね?」
「……殺す意味もないだろう。殺さないから、安心して食べるといい」
「はっ、まさかぶくぶく太らせてから、時間をかけて食べたり――」
「人肉を食べる趣味はない」
「それか、見世物に――」
「何もしないと言っているだろう。どうしてそんな思考回路をしているんだ」
デュドナはオルテンスの言葉に呆れた様子を浮かべている。
オルテンスの様子はまるでそういう風に理由がなければメスタトワ王国の者達がオルテンスに食事など与えるはずがないと思っているようだ。一国の姫として生きてきたようには決して見えない。
メスタトワ王国の者たちは、そんなお姫様には見えないオルテンスに何とも言えない様子である。
オルテンスがどんなふうに生きてきたのかというのが、その発言からも垣間見えるものである。
「何も理由なしに食べていいなんて……不思議。どうして?」
ぼそっとオルテンスが不思議そうに、どうしてだろうと呟いた言葉は小声すぎて周りにはその声は届かなかった。
オルテンスは、ぼーっとした様子でベッドに座っている。
あの後……、オルテンスが一思いに殺してほしいと言った後、オルテンスは殺されなかった。何とも言えない表情をしていたデュドナは「殺しはしない」と口にした。そしてオルテンスは王城の一室へと案内された。
オルテンスにとって、そこはとても素敵な部屋である。
自国では、姫としての扱いもされずに、狭くぼろい部屋で暮らしていた。使用人もおらず、離れで暮らす――そんな日陰の暮らしをしていたオルテンスにとっては素敵な部屋である。
ちなみにぼーっとしているオルテンスには当然のごとく監視がつけられているが、ただの少女である彼女は当然気づいていない。
どうして自分は生きているんだろうとばかりに、ぼーっとしているオルテンス。
どこからどうみても人畜無害な様子である。
こっそり魔法を使ってオルテンスを監視している影は、「この子、監視する意味ある?」と思っていた。
しまいにはぐーっとお腹がなる。
「お腹すいたなぁ……。でもご飯ほしいなんて言えないものね。我慢我慢」
空腹を我慢することは、オルテンスにいつものことである。なので、当然のごとくお腹がすいたけれど我慢することにした。
実はオルテンス、移動中にあまりご飯をもらっていなかった。サーフェーズ王国からついてきた最低限のものたちは、オルテンスの事を軽んじていた。ちなみに彼らはメスタトワ王国にオルテンスを送り届けるとすぐに帰っていった。
空腹を感じているが、だからといってそれを望むのも……とベッドに座ったまま我慢するオルテンス。
監視していた影は、「変わったお姫様。お腹すいていて、悲しそうな顔してる! ご飯あげた方がいい」とご飯をあげたくなっていた。そういうわけで、すぐに知らせを出す。他の影が「何かあったか?」とやってくると、「お姫様にご飯を食べさせたいです」といってぽかんとされていた。
二人の影はお腹が鳴りながらも、ぼーっとしながら独り言を言っているオルテンスを見て、「ご飯をあげなきゃ」という思いで共通したらしく、デュドナたちにすぐに報告する。
ほぼ一人で過ごしていたオルテンスは、結構独り言が多かった。
デュドナはもしかしたらオルテンスが何か企んでああいう態度をしたのではないか、演技をしているのではないか……と思っていたようだが、影からの報告を聞いてとりあえずご飯をオルテンスに食べさせることにした。
侍女がオルテンスの部屋を訪れれば、「殺してくれるんですか?」と問いかけられ、侍女は困った顔をした。
ご飯を食べてもらいますと言えば、毒殺かな? などと思っているオルテンス。
自分のことを何の価値もないと思っているオルテンスは、この国で殺されると思っているようだ。先ほど殺しはしないとデュドナに言われていたが、その気が変わったのだろうと思っているようだ。
案内された席に、デュドナも居てオルテンスは驚いている様子だ。
最期の晩餐が、大国の王と一緒な感じかなと思っているようだ。デュドナは、その美しい金色の瞳でオルテンスをじっと見ている。
座るように言われて、オルテンスは腰かける。
食事のマナーもそんなにオルテンスは出来ていない。最低限のことしか出来ないので、ハラハラしながらも食事をとっていいと言われたため、オルテンスは目の前の食べ物に手を付ける。
食べやすくて、美味しいものばかりだ。そしてオルテンスはこういったちゃんとした食事をあまり知らない。美味しくて嬉しそうにバクバク食べている。
「……美味しそうに食べるな」
「美味しいものが食べれて、嬉しいから」
そう口にしながらバクバク食べる。それもこれが最期の晩餐だと思っていて、このまま殺されるのならば美味しい料理を最後に楽しもうと思っているのかもしれない。
オルテンスは嬉しくて仕方がないとでもいうように、満面の笑みを溢している。
まるで子供のように無邪気な笑みを浮かべているのを見ると、全く持って何かを企んでいるようには見えない。
「美味しいか?」
「はい! とっても美味しいです。こんなにおいしいもの、はじめて食べました。これ、最期の晩餐ですか?」
「……何でそうなる?」
「だって、私を陛下たちが生かしておく意味もないですよね?」
「……殺す意味もないだろう。殺さないから、安心して食べるといい」
「はっ、まさかぶくぶく太らせてから、時間をかけて食べたり――」
「人肉を食べる趣味はない」
「それか、見世物に――」
「何もしないと言っているだろう。どうしてそんな思考回路をしているんだ」
デュドナはオルテンスの言葉に呆れた様子を浮かべている。
オルテンスの様子はまるでそういう風に理由がなければメスタトワ王国の者達がオルテンスに食事など与えるはずがないと思っているようだ。一国の姫として生きてきたようには決して見えない。
メスタトワ王国の者たちは、そんなお姫様には見えないオルテンスに何とも言えない様子である。
オルテンスがどんなふうに生きてきたのかというのが、その発言からも垣間見えるものである。
「何も理由なしに食べていいなんて……不思議。どうして?」
ぼそっとオルテンスが不思議そうに、どうしてだろうと呟いた言葉は小声すぎて周りにはその声は届かなかった。