冷酷王の元へ妹の代わりにやってきたけど、「一思いに殺してください」と告げたら幸せになった
「楽しいものが沢山」
オルテンスは大衆食堂での食事を終えた後、また王都に出た。
お腹いっぱいになっているオルテンスは、幸せな気持ちになりながらあたりをきょろきょろと見渡す。
王都には沢山のスポットがある。
恋人たちの待ち合わせ場所だったり、家族で訪れる場所だったり――そういう場所だ。
噴水のある公園だったり、人が立ち並ぶ人気店だったり、あとは隠れた名店だったり――そういうものが沢山あるようだ。
オルテンスは何処のお店に入ろうかときょろきょろしている。
「オルテンス、そんなにきょろきょろしていても王都は逃げないぞ。何回来ても大丈夫だしな」
「そっか。でも、楽しいものが沢山。だからどこに入ったらいいか分からないです……」
「入りたいのに全部入ればいい」
オルテンスはそう言われても、どこに入ったらいいか分からない様子できょろきょろしている。歩きながらきょろきょろしているからか、人にぶつかりそうになってしまう。
「気をつけろよ」
そんな風にオルテンスは言われて、ぶつかってしまったことにびくりと身体を震わせる。
人が沢山歩いている大通りでは、オルテンスはすぐに人込みにまぎれたり、ぶつかったりしてしまったりするのである。
そんなオルテンスを見て、デュドナは溜息を吐き、「はぐれたら困るから、手をかせ」という。
オルテンスは手を差し出されて、本当にその手を握っていいのだろうかと戸惑った表情を浮かべている。そんなオルテンスを見て、デュドナは仕方がないなという表情で「かせ」という。そうすれば戸惑ったまま、オルテンスは手を伸ばす。
誰かと手を繋ぐという行為が、オルテンスは何よりも新鮮だった。
手を繋ぐと、こんなにもその人の体温が感じられて――、その人と一緒にいる感覚になって……何だか心強い気持ちになるとオルテンスはびっくりしていた。
「……何で手を繋いだだけでにこにこしているんだ?」
「初めてだからです。何だかほっとする」
「そうか」
「うん」
「それで、次は何処に行きたいんだ?」
「えっと……じゃあ、あそことか、いいですか?」
「ああ」
オルテンスが指をさしたのは、平民向けの洋服屋である。
オルテンスは祖国では着るものはおさがりばかりだった。そしてメスタトワ王国では国で準備してくれたものだけである。通常、王侯貴族なら自分から出向くよりも商会を呼び寄せることが多いが、オルテンスは敢えてそのお店に入りたいと思った様子。
洋服屋に入って、色んな服を自分の目で見て回る。
それだけでもオルテンスにとっては、それだけでも心躍る光景だった。
「試着しましょう!」
「試着?」
「ええ。こういうお店は試着出来ますからね。素敵な服を沢山買いましょう」
洋服屋に入って、ミオラが一番興奮した様子だった。
デュドナにまで、オルテンスに似合うものを探しましょうなどとミオラは言いだす。
デュドナはその勢いに押されて、呆れながらもオルテンスに似合うものを選ぶのだった。
店員の女性も混ざって、オルテンスに似合うものを選ぶ会のようなものが行われるのであった。
その後、何着も購入する。
オルテンスは遠慮していたけれども、結局購入することになったのだった。
お腹いっぱいになっているオルテンスは、幸せな気持ちになりながらあたりをきょろきょろと見渡す。
王都には沢山のスポットがある。
恋人たちの待ち合わせ場所だったり、家族で訪れる場所だったり――そういう場所だ。
噴水のある公園だったり、人が立ち並ぶ人気店だったり、あとは隠れた名店だったり――そういうものが沢山あるようだ。
オルテンスは何処のお店に入ろうかときょろきょろしている。
「オルテンス、そんなにきょろきょろしていても王都は逃げないぞ。何回来ても大丈夫だしな」
「そっか。でも、楽しいものが沢山。だからどこに入ったらいいか分からないです……」
「入りたいのに全部入ればいい」
オルテンスはそう言われても、どこに入ったらいいか分からない様子できょろきょろしている。歩きながらきょろきょろしているからか、人にぶつかりそうになってしまう。
「気をつけろよ」
そんな風にオルテンスは言われて、ぶつかってしまったことにびくりと身体を震わせる。
人が沢山歩いている大通りでは、オルテンスはすぐに人込みにまぎれたり、ぶつかったりしてしまったりするのである。
そんなオルテンスを見て、デュドナは溜息を吐き、「はぐれたら困るから、手をかせ」という。
オルテンスは手を差し出されて、本当にその手を握っていいのだろうかと戸惑った表情を浮かべている。そんなオルテンスを見て、デュドナは仕方がないなという表情で「かせ」という。そうすれば戸惑ったまま、オルテンスは手を伸ばす。
誰かと手を繋ぐという行為が、オルテンスは何よりも新鮮だった。
手を繋ぐと、こんなにもその人の体温が感じられて――、その人と一緒にいる感覚になって……何だか心強い気持ちになるとオルテンスはびっくりしていた。
「……何で手を繋いだだけでにこにこしているんだ?」
「初めてだからです。何だかほっとする」
「そうか」
「うん」
「それで、次は何処に行きたいんだ?」
「えっと……じゃあ、あそことか、いいですか?」
「ああ」
オルテンスが指をさしたのは、平民向けの洋服屋である。
オルテンスは祖国では着るものはおさがりばかりだった。そしてメスタトワ王国では国で準備してくれたものだけである。通常、王侯貴族なら自分から出向くよりも商会を呼び寄せることが多いが、オルテンスは敢えてそのお店に入りたいと思った様子。
洋服屋に入って、色んな服を自分の目で見て回る。
それだけでもオルテンスにとっては、それだけでも心躍る光景だった。
「試着しましょう!」
「試着?」
「ええ。こういうお店は試着出来ますからね。素敵な服を沢山買いましょう」
洋服屋に入って、ミオラが一番興奮した様子だった。
デュドナにまで、オルテンスに似合うものを探しましょうなどとミオラは言いだす。
デュドナはその勢いに押されて、呆れながらもオルテンスに似合うものを選ぶのだった。
店員の女性も混ざって、オルテンスに似合うものを選ぶ会のようなものが行われるのであった。
その後、何着も購入する。
オルテンスは遠慮していたけれども、結局購入することになったのだった。