冷酷王の元へ妹の代わりにやってきたけど、「一思いに殺してください」と告げたら幸せになった
「キスしますか? 夫婦はするって聞きました」
「オルテンス様、結婚式の準備を着々と進めていますからね。オルテンス様のことをこの世で一番美しくしますからね!!」
「ミオラ、嬉しそう」
「嬉しいですよ。私はオルテンス様が王妃になるの嬉しいですもん。オルテンス様、もし王妃になることで誰かに何か言われたら私とか陛下とか、誰でもいいので伝えてくださいね」
ミオラはオルテンスが王妃になることが心から嬉しいらしい。
にこにこと笑って、張り切って結婚式の準備をしている。
王族の結婚式なので、すぐに行われるわけではない。その準備というのは重要である。
それにデュドナは散々花嫁候補を追い返してきた王だったので、そのデュドナが妻を迎えるということで訪れる者は多いだろうということだった。
王城に仕えている者たちはオルテンスが王妃になることを素直に喜んでいるが、オルテンスの着るウエディングドレスを準備するために訪れた仕立て屋はそれはもう驚いた様子だった。
一流の仕立て屋でも、王妃にになる者のドレスを仕立て上げるのは緊張するものらしかった。
ちなみにそのドレスの意見はミオラたち侍女たちが沢山意見を出していた。もちろん、オルテンス自身の意見も尊重されているが、オルテンスは流行のドレスなどが分かっていない。
それもあってミオラたちから意見を聞きながら進められていた。
オルテンスはそんなに色んな人が意見を出した素敵なドレスが自分の物になるというのも何だかとっても不思議だった。
そもそも自分が結婚をするというのも何だか現実味がない話だった。
結婚式という単語は知っている。けれどもずっとひっそりと生きてきたオルテンスは誰かの結婚式にも出席したことがない。それは夢の中でだけ見ていたことだったのだ。
誰かと結ばれて、家族になる。
それは本の中ではハッピーエンドを迎える人たちの行っているもの。
幸せになりました。めでたし、めでたし。
そうやってしめられる物語が沢山あって、オルテンスだってそういう物語を読んだことがある。
もちろん、現実はめでたし、めでたしの後も続いていくわけだけれども――オルテンスはその幸せになりましたというのを自分が経験するのがやっぱり、不思議だった。
物語の中野お姫様と同じように、幸せになる。
「……オルテンス様、どうして頬をつねっているのですか?」
「やっぱり、夢かなって」
オルテンスはやっぱりこの状況が夢なんじゃないかと考えたのか自分の頬をつねってしまった。
「夢なわけないですよ! これは現実です。オルテンス様はちゃんとこの国で正式に王妃になるんですから、夢だなんて言わないでください。私もこれが夢だったら悲しいです」
「……うん、そっか、そうだよね。これは現実で。私は陛下のお嫁さんになって、暮らしていく」
「そうですよ! それにしてもオルテンス様、にこにこしてて可愛いですね!」
「ありがとう」
「そうです。否定じゃなくて、そうやってありがとうって言っていきましょう! 自分が可愛いんだってどんどん自惚れていきましょうね!」
「えっと、それだけ変な人じゃない?」
「大丈夫です。オルテンス様はとっても可愛いので、自分は可愛い! 自分より可愛い人は居ないってそう思ってても全然いいんです」
流石にそこまで言われた言葉にはオルテンスは返事は出来なかった。ミオラはオルテンスのことをひたすら甘やかしているのであった。
さて、オルテンスは王妃になることが決まったので前よりも国家機密に触れるようになっていた。
こんなものを自分が知ってもいいんだろうかなんてそんなことを思ったオルテンスだが、デュドナたちは「問題ない」と言い切った。それはオルテンスがこのメスタトワ王国を裏切ることがないと思っている証で、オルテンスが王妃としてこの国に留まり続けるという証だった。
オルテンスはその言葉を聞いて嬉しそうに笑っていた。
にこにこと笑いながら楽しそうにオルテンスは王妃としての仕事を少しずつ学んでいた。
その中で、ふとオルテンスは何か考えこむような仕草をした。
「オルテンス、どうしたの?」
「いや、えっと……、私と陛下は夫婦になるんですよね」
「そうだな」
「キスしますか? 夫婦はするって聞きました」
「ぶっ」
思わずオルテンスの言葉にデュドナは噴き出した。
だけれどもオルテンスが無垢な瞳でデュドナを見つめているのでそのままデュドナは口づけをしたのであった。
「ミオラ、嬉しそう」
「嬉しいですよ。私はオルテンス様が王妃になるの嬉しいですもん。オルテンス様、もし王妃になることで誰かに何か言われたら私とか陛下とか、誰でもいいので伝えてくださいね」
ミオラはオルテンスが王妃になることが心から嬉しいらしい。
にこにこと笑って、張り切って結婚式の準備をしている。
王族の結婚式なので、すぐに行われるわけではない。その準備というのは重要である。
それにデュドナは散々花嫁候補を追い返してきた王だったので、そのデュドナが妻を迎えるということで訪れる者は多いだろうということだった。
王城に仕えている者たちはオルテンスが王妃になることを素直に喜んでいるが、オルテンスの着るウエディングドレスを準備するために訪れた仕立て屋はそれはもう驚いた様子だった。
一流の仕立て屋でも、王妃にになる者のドレスを仕立て上げるのは緊張するものらしかった。
ちなみにそのドレスの意見はミオラたち侍女たちが沢山意見を出していた。もちろん、オルテンス自身の意見も尊重されているが、オルテンスは流行のドレスなどが分かっていない。
それもあってミオラたちから意見を聞きながら進められていた。
オルテンスはそんなに色んな人が意見を出した素敵なドレスが自分の物になるというのも何だかとっても不思議だった。
そもそも自分が結婚をするというのも何だか現実味がない話だった。
結婚式という単語は知っている。けれどもずっとひっそりと生きてきたオルテンスは誰かの結婚式にも出席したことがない。それは夢の中でだけ見ていたことだったのだ。
誰かと結ばれて、家族になる。
それは本の中ではハッピーエンドを迎える人たちの行っているもの。
幸せになりました。めでたし、めでたし。
そうやってしめられる物語が沢山あって、オルテンスだってそういう物語を読んだことがある。
もちろん、現実はめでたし、めでたしの後も続いていくわけだけれども――オルテンスはその幸せになりましたというのを自分が経験するのがやっぱり、不思議だった。
物語の中野お姫様と同じように、幸せになる。
「……オルテンス様、どうして頬をつねっているのですか?」
「やっぱり、夢かなって」
オルテンスはやっぱりこの状況が夢なんじゃないかと考えたのか自分の頬をつねってしまった。
「夢なわけないですよ! これは現実です。オルテンス様はちゃんとこの国で正式に王妃になるんですから、夢だなんて言わないでください。私もこれが夢だったら悲しいです」
「……うん、そっか、そうだよね。これは現実で。私は陛下のお嫁さんになって、暮らしていく」
「そうですよ! それにしてもオルテンス様、にこにこしてて可愛いですね!」
「ありがとう」
「そうです。否定じゃなくて、そうやってありがとうって言っていきましょう! 自分が可愛いんだってどんどん自惚れていきましょうね!」
「えっと、それだけ変な人じゃない?」
「大丈夫です。オルテンス様はとっても可愛いので、自分は可愛い! 自分より可愛い人は居ないってそう思ってても全然いいんです」
流石にそこまで言われた言葉にはオルテンスは返事は出来なかった。ミオラはオルテンスのことをひたすら甘やかしているのであった。
さて、オルテンスは王妃になることが決まったので前よりも国家機密に触れるようになっていた。
こんなものを自分が知ってもいいんだろうかなんてそんなことを思ったオルテンスだが、デュドナたちは「問題ない」と言い切った。それはオルテンスがこのメスタトワ王国を裏切ることがないと思っている証で、オルテンスが王妃としてこの国に留まり続けるという証だった。
オルテンスはその言葉を聞いて嬉しそうに笑っていた。
にこにこと笑いながら楽しそうにオルテンスは王妃としての仕事を少しずつ学んでいた。
その中で、ふとオルテンスは何か考えこむような仕草をした。
「オルテンス、どうしたの?」
「いや、えっと……、私と陛下は夫婦になるんですよね」
「そうだな」
「キスしますか? 夫婦はするって聞きました」
「ぶっ」
思わずオルテンスの言葉にデュドナは噴き出した。
だけれどもオルテンスが無垢な瞳でデュドナを見つめているのでそのままデュドナは口づけをしたのであった。