恋と2つのブランコ
蘭視点


 今日が10月4日。
 夢に合うのが怖かった。
 俺は夢とお揃いのミサンガを付けて
 家を出た。



 ちょっと遅れた、と思ったら
 そこには、君がいた。

 ブランコに座っている。

 「お待たせ。ごめん、遅れた。」

 あぁ、この「ごめん」は言えるのに
 なんですぐに言えないんだろう。

 「大丈夫…」

 俺は夢の隣のブランコに座る。

 「あのさ、」

 「ん、?」

 「わ、私と、別れて欲しい。」

 やっぱり、そうだよね。
浮気されたんだ。誰だったこうするだろう。

 「…わかっ、た。」

 「…だけどさ…、」

 「これだけは約束してほしい…。
  次に"君"が誰かを愛した時には、
  私の時見たいに慣れないで、
  相手の人の愛にちゃんと向き合って
  あげてほしい。」

 なんで、?何でそんなこというの?

 悪いけど、俺は、、俺は…

 
 「それに…誰か見たいに、わがままで、
 我慢ばっかり1人で溜め込んでる人…
 
 そんな人とは、恋に落ちないようにね。」

 

 「最後のわがままに…指切り。」

 俺は黙ったまま手を出して、彼女の手に添えた。

 
 「じゃあ、ね



  今までありがとう。バイバイ。」

 
 彼女はすぐに、立ち去ろうとした。

 だから俺は引き止めた。

 



       敬語を使って。


     はじめましてのように。


 「待って…下さい。」

 「俺は、夢さんと、付き合いたいです。」


 「どう、して、」


 どうしてってそんなの一つしかない。




     ー君が好きだからだよー


 「…俺は、夢の事が好きだった。
  今もこの先もずっと好きなまま。
  だけど、俺は夢のことを泣かせた。
  だから、その分、反省しなきゃいけない。夢とはもう会わない事が償いだと思っていた。だけどやっと気がついた。夢の事を泣かせた分だけ、俺が幸せにする事。これが償いだって。」
                 

 「…だったら、さっきの指切りは、?」

 「その約束を果たす相手はまた、
  同じ人でも別にいいでしょう、?」
 


 こんなの俺が言える立場じゃないって事は分かっている。


「ごめん。ちょっと、ちょっとでいいの。
 少し考えさせてくれる、?」


そうなる事だってわかってたよ。
だから。

 「分かった。
  じゃあ、2022年の1月14日。
  今日と同じ時間、場所に。」

 なんでそんなに空いているかは、
今俺にできる事だから。

 俺は彼女を守るどころか泣かせた。
 俺が今できる事は、彼女がしっかり考えてくれるのを、待つ事だから。



 俺にできる事なんて、それくらいだから。
                    
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