クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
自分の会社のことだけを考えるのではなく、結婚したことで私の実家まで凛久さんに頼っているのだ。

「それも俺がなんとかするから。瑠璃は何も心配するな。だから俺と一緒にいろ」
初めて聞く、彼のその強い意志を感じる口調に、私は驚きながらもその迫力に押されうなずいていた。
そう返事をしている途中で、ふわっと優しく口づけられる。

「これが瑠璃との初めてのキス。記憶を変えておいて」
真剣な瞳で言うと、キュッと私を抱きしめる。

「本当にいいんですか?」
涙が零れ落ちそうになり、彼のシャツをキュと握りしめながら問いかければ、逆に問い返される。

「瑠璃は嫌?」
私はもともと彼が好きだった。だからどんなことでも耐えられる。ただ彼に負担をかけたくないだけだ。

「凛久さんがいいのなら、私はそれでいいです」
それだけ伝えるのが精一杯だが、そう呟けば上から力強く答えが降ってくる。

「俺は瑠璃がいい」
はっきりと伝えてくれたその言葉に、私はとうとう涙が零れ落ちた。
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