クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
一日、落ち着かない気持ちの中、なんとかバイトを終えいつも通り夕飯の買い物をして、家路へと着く。
凛久さんからは少し遅くなると連絡が来ている。
私は独り立ち尽くし、リビングを見回す。
二人でくっついてじゃれあったソファーも、ここから見える景色もすべて。いつの間にかすっかりなじんでしまっていた。
そして、今はここにない凛久さんの温もり。凛久さんさえいれば何もいらないのに。そんなことを思っているとポロポロと涙が零れ落ちる。
「瑠璃?」
帰った時は日差しがまだ差し込んでおり、電気をつけていなかった私だったが、不意に後ろから聞こえた声に振り返った。
日が落ちかけ、暗くなっていた部屋と立っていた私に驚いたように、凛久さんが走ってくる。
「なんだ? どこか調子が悪いのか?」
スーツを着たまま、私を心配そうにのぞき込む。そして大きな手で私の頬を包み込み涙を拭う。