クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する

「凛久さん……。もう一緒にいられないの?」
その手の温もりに、私は耐えきれず堰をきったように言葉が口をつく。

「何をいってるんだ?」
本当に訳がわからないと言った表情の瑠偉さんに、私はしゃくりあげながら問いかける。

「だって、もう、結婚続けられないんでしょ? 業績がダメだったから、藤堂に。私はもういらない?」

「瑠璃……それってどういう意味?」
一瞬驚いたように目を見開いた後、凛久さんはなぜか蕩けるような笑みを浮かべて問いかける。

「どうって……。だって、凛久さんのために私は何もできなかった。そんな私じゃ……」

「そんなこと聞いてない。今、瑠璃は俺といられなくなることを泣いてくれてる?」

ここで嘘をついても仕方がないとコクリと頷く。

「俺と一緒にいるのは実家を助けるためだけではもうない?」
「ないです。そんなの初めから」
「は?」
今度はかなり間抜けな声が凛久さんから漏れる。私はもはや今まで耐えていたものが溢れてしまい、子供のように言葉を紡いでしまうも、それを止められなかった。
< 110 / 176 >

この作品をシェア

pagetop