クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
「え? 業績が悪化したから戻って、それで結婚するんでしょ?」

気にするなってどうしてそんなことを言えるのかわからず、私は抱きしめている彼の腕を力なくたたく。

「え……。そうか、そうだよな。合併して店を大きくすることしか考えてなかった。瑠璃には気にして欲しくなくて後で話そうと……」

一人で考えをまとめようとするように呟いた後、凛久さんは私をくるりと腕の中で回転させた。

そしてジッと私の瞳を見つめる。凛久さんの綺麗な瞳が少し揺らいでるようにも見える。

「卑怯だなって思ったんだよ。これ以上金で瑠璃の心を得ようとするのが。でも、純粋に瑠璃の実家は助けたいし、これからも一緒にいるためには、俺に問って実家に戻るぐらい大したことが亡くなったんだよ」

え? 言われた意味がわからない。凛久さん自ら藤堂に戻ったというような物言いに、ポカンとして彼を見上げる。
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