クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する

「瑠璃と一緒にこれからもいられるのなら、実家に戻るのも、親父に頭を下げることなんてどうってことない。だから頼む。俺の元から去らないで。好きなんだ」

一気に言われた言葉だったが、最後のセリフにバッと顔を上げた。

「誰が誰を好き？」
ぼんやりと問い返せば、凛久さんははっきりと私をするどい視線でとらえる。

「俺はずっと瑠璃が好きだ。瑠璃だから結婚の話を持ち掛けた」

「うそ……」
信じられず呟くと、凛久さんは私の手をそっと取って、ソファーに座らせる。

「うそじゃない。父からこの話が来た時真っ先に瑠璃の顔が思い浮かんだ。身分を隠してあの店に行くのは、視察という名の楽しみだったんだ」

凛久さんもあの時間を大切にしてくれていたことに、驚きと嬉しさが溢れる。

「だから、お父さんのお茶を盾に結婚を迫った。卑怯だと思っていたけど、どうしても瑠璃を手に入れたかった」