クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
ふわりと優しく笑った彼に、やはり優しい人だと思う。私も笑顔で返せばまたキスが落ちてくる。少し深くなったキスに私は慌てて凛久を止める。

「料理が間に合わないから……。また後でして」

素直にならなければと思っていたが、これではただのわがままだ。ハッとして彼を見れば、目を閉じて額に手を当てている。

「凛久……?」
呆れられたかと思っていると、凛久はおとなしくリビングに戻りソファーに腰を下ろした。

「瑠璃、今度そんなかわいいこと言ったら、間違いなく雅也たちに断りを入れて、ベッドに直行だからな」

その内容に今度はブワっと頬に熱が集まる。こんな風にお互い言い合えるようになるなんて。

幸せな気持ちでいっぱいになりながら、私は料理を再開した。
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