クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
四人でリビングに行くと、和泉さんは並んだ料理をジッと見ていた。
「これ、 全部瑠璃ちゃんのお手製?」
和泉さんは私を瑠璃ちゃんと呼び、とても気さくに話しかけてくれる。年上のお姉さんと言った感じですぐに打ち解けることができた。
「はい、パティシエの和泉さんにお出しするのは恥ずかしいんですが」
きっと料理も好きだろうと思って答えれば、代わりに雅也さんが口を開く。
「和泉は菓子専門だもんな」
冷たい印象な上に、そんな言葉を奥様に掛けるなんてと思ってしまったが、和泉さんは満面の笑みを浮かべて副社長を見た。
そのことに驚いてしまう。
「いいじゃない。雅也の料理とっても美味しいし」
「瑠璃、安村家は料理はすべて雅也担当なんだよ。反応を気にするなら雅也だな」
「え!」
凛久さんの言葉にも驚いて、副社長を見た。まったく料理をやるような感じには正直見えない。
それが副社長にも伝わったのだろう。しかし、そんなことを気にすることなく、テーブルの料理を眺めている。