クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
「もし、上月がそう思っていないなら、俺は忠告するよ。御曹司がただのバイトと真剣につきあうはずはない。目を覚ませ……」

確かに誰もがそう思うはずだ。ただのバイトでは凛久とは釣り合わないと思われることを。それでも凛久は私がいいと言ってくれた。

「あのね」
真剣に心配をしてくれている彼に、私が話し始めたところで、いきなり開店前のドアから誰かが入ってくるのが分かった。

「申し訳ありません。まだ開店前……」

そこには女性と、その後ろに真夏だがスーツをきた男性が立っていた。
肩より少し長い黒髪は艶やかできれいに整えられていて、清楚なベージュのワンピースにブランドのサンダルを履いていた。一見してどこかのお嬢様といういで立ちに、私たちは一瞬言葉を止めた。

「上月瑠璃さんはあなた?」
開店前だと言ったにもかかわらず、真っ直ぐに私の名前を呼び歩いてくるその人に、私も怯んでしまう。
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