クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
「藤堂の傘下に入ったことで、社長、すなわち凛久の父親はどうとでもできるのよ? あなたと離婚しなければ、このスタンリーカフェの社長もかわるでしょうね」

「そんな!」
凛久がこの会社にどれほど大切にしていて、思い入れがあるかは私が一番知っている。いつも一生懸命で、雅也さんや店長、そして瑞樹君。スタッフみんなを大切にしていた。
それを私のせいで奪われる?

「は? なんなんだよ。この会話。どういうことだよ。いろいろ言ってるけど、あなたは?」
瑞樹君もかなり驚いたようで、私と彼女を交互に見ながらも彼女が誰かが気になったようだ。

「あら、私としたことがごめんなさいね。西園寺牡丹。凛久の婚約者よ。父は銀行の頭取をしているの」
勝ち誇ったような彼女を、私は呆然と見つめながらどうすることが一番いいのか考えようと思うも、まったく頭が働かない。
< 143 / 176 >

この作品をシェア

pagetop