クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
足取り重く居間へと戻れば、父と母は夕食を前に座っていた。

白米に味噌汁、そして肉が少しの野菜炒め。健康的といえばそれまでだが、質素で慎ましい暮らしの夕食だ。
ゆっくりと急須から緑茶を注げば、とてもいい香りが広がるも、今日はいつもより両親の表情は暗い。

「いつもの不動産屋さんじゃなかったの?」
なんとなく察知して問いかければ、両親は顔を見合わせた。

「ああ、今日は……」

「借金取りよね」
言葉を濁した父に対し、母がきっぱりと言い放った。

「え!」
まさかそんなところまで話が言っていると思っていなかった私は、言葉を失う。
工場がある場所を売って欲しいと不動産屋がきているのは知っていた。それは都市開発のためだと思っていた私は呆然としてしまう。
まさか、土地が借金の抵当に入っていたというだ。

経営が著しくはないが、店がなくなることなどないと思っていた私は甘かったのだと痛感する。
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