クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
今日私が来ているのは、凛久と一緒に選んだ色留袖だ。最高級の京友禅でローズ地に牡丹の花と梅の花があしらわれている。

「それに和服を着ると瑠璃ちゃん、姿勢がいいしとても所作が綺麗だから本当に美しいって感じよ。ねえ、雅也」

いつも無口な雅也さんも、優しい笑みをうかべ「ああ」と同意してくれた。
実家の仕事柄、まだ裕福だったころ茶道と着付けは一通りならっていて本当によかったと思った。

少し照れながらも「ゆっくりしていってください」と腰を折ると私は、他の招待客へと挨拶を再開した。

「え? そうなのかい?」
そんな声が聞こえてきて、私はその方を見た。
そこには私でも知っている経済産業省の大臣の顔があった。そして横にいるのはお義父様とお義母様、そして私の両親。みごと勢ぞろいしていている。

藤堂ともなれば、政界にも顔がきくし、VIPも多くきているので驚くことはないが、その人たちが一斉に私をみたのだ。
< 162 / 176 >

この作品をシェア

pagetop