クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
しかし、本当に彼ならば、あの和パフェの開発にも携わっていということだ。私に知らないふりをして話しかけていたのも、お忍びで店舗チェックをしてたのだとわかる。

それなのに、笑いかけてくれた彼に、淡い恋心を抱いていたなんて。羞恥と少しのみじめさが心の中に滲む。

「いきなり尋ねて申し訳ない」

「あの、いえ。どうされたんでしょうか? 問題でも?」
社長自ら一バイトのところに来るなど、何か大きなクレームでもあったのだろうかと拙い言葉が口をつく。そして冷たい汗が背中に流れ落ちたのを感じて、私はキュッと唇を噛んだ。

「誰だかわかったみたいだね」
少し苦笑して尋ねる彼に、私は確信して小さく頷いた。

「騙したように感じたなら申し訳ない」
「いえ……」
それ以上どう答えていいのかわからず、私は言葉を止めて視線を泳がせた。

「お父様は御在宅?」
「父ですか?」
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