クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
「瑠璃、お前はどう思っているんだ」
いきなり話の矛先が自分に向けられて、私は父に視線を向けた。
私の気持ち? 確かに淡い芸能人に向けるようなあこがれは持っていた。しかし結婚など考えているわけもない。
でも……。彼がどういうつもりかはわからないが、借金取りが来るような我が家を、結婚したら助けてもらえる。私が断らなければ、我が家は路頭に迷うことはない。
「私も同じ気持ちなの」
そんな打算的な気持ちを持ってしまった自分を恥じるも、言ってしまった言葉を取り消すことなどできない。ハッとして彼を見ると、表情を変えることなく父を見ていた。
「瑠璃がいいのなら」
そう呟くと父はすっと背筋を正し頭を下げた。
「よろしく頼みます」
「こちらこそお願いいたします。今日はご挨拶に伺っただけなので、詳しいお話は後日させていただければと思います」
そういうと、彼は立ち上がった。何が何だかわからないまま、私も反射的に立ち上がる。