クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
「相変わらず朝早いな。今日は休みだろ?」

あくびをしながら私の手元を覗き込む彼に、私はクスリと笑い声をあげた。

「はい、でも凛久さんはお仕事ですよ。顔洗ってきてください」
「俺のために起きなくていいって言ってるのに。疲れていないか?」

私の髪をひとすくい取ると凛久さんは、それを弄ぶように尋ねる。
直接触れられた感覚はないのに、サラリとこういうことをする彼に内心ドキドキしてしまう。
そんな気持ちを悟られないように、くるりと後ろを向いて彼を睨みつけた。

「私は大丈夫です。遅刻しますよ。社長!」
私のその言葉に、凛久さんは「わかりました」としぶしぶキッチンを出て行った。

もう……。まったく。
そう思いながらも、一人でにやけてしまいそうになるのを何とか耐える。

彼の仕事をサポートし、成果を上げてもらえなければ私と結婚した意味はないのだ。
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