クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
こんなに和やかに私と過ごしていて大丈夫なのかと少し不安になることもある。
しかし、そんな杞憂は次の瞬間はじけ飛んでしまうのだけど。
ビシっとスーツに身を包み、額を出し髪をセットして現れた彼はさっきと同じ人かと思うほどのオーラを纏っていた。

「今日もうまいな」

ゆっくりと入れた深蒸し煎茶を飲んだ凛久さんが、私に声をかけてくれる。

「ありがとうございます」

朝は少し濃い目で目が覚めるので好きなのだ。気分によって茶葉は変えるが、小さい頃の私の習慣だ。

そんな私の習慣を何も言わず受け入れてくれ、味の感想まで伝えてくれる。
そんなたわいもない話をしながら過ごす朝の時間が楽しい、

そして凛久さんは卵焼きに手を伸ばす。今日の朝食は根菜と揚げの味噌汁、ビタミンたっぷりの雑穀米にさわらの西京焼きといった至ってシンプルな和食だ。

「納豆とのりも食べますか?」
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