クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
私のような素人がこんなことを考えたことを彼は笑うだろうか。少しだけそんな不安が心を過るが、凛久さんの表情をみてそれも杞憂だったとわかる。

「ありがとう。瑠璃がそんな風に考えてくれていて嬉しい」

本当に心から伝えてくれているとわかり、私も笑顔を向けた。

「夏なので甘さを抑えた求肥とか、水ようかんとかもいいかなって。求肥はお茶をベースに中にあんずも合うかな……」
頭の中に浮かんだイメージをとりとめなく言葉にすると、凛久さんがクスリと笑ったことに気づき我に返る。

「俺とカフェで話すときもいつもいろいろ考えてくれてたよな」

「すみません。すぐ自分の世界に入ってしまって……」
過去のことを思い出しても、確かに最後は一方的に自分が話していたことを思い出し、恥ずかしくて俯いていると、凛久さんはキョトンとした表情を浮かべる。

「どうして謝るんだ? 別にいいことだろ」
「え? 嫌じゃないんですか?」
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